問題が完全に解決されてし まうと、その問題については忘れてしまうが、中断されたり、答えがなかなか与えられないとそれが深く記憶に残るという効果です。
ツアイガルニック(Zeigarnik)という人が見つけたので、こんな名前がついてます。
「あっ、そうだ。話そうと思っていたことがあるんだけど」
友人からこう切り出されて、「やっぱり今度にするね」と言われた時の何とも言えないモヤモヤした感じ。経験ありませんか?
こんな風に言われると、どうしても気になってしまうものです。
こうした現象は「ツアイガルニック(Zeigarnik)効果」と呼ばれています。
未完結なものや途中で中断されたものは記憶に残りやすく、反対に完結しているものは忘れやすいという理論です。
テレビで、いよいよ核心に踏み込むという時に「続きはコマーシャルの後で」となってしまい、どうしても続きが気になってしまった。そんな経験のある方も多いことと思います。これは、ツアイガルニック効果を取り入れた代表的な例です。コマーシャル中に他の番組に浮気されないように視聴者の興味を引っ張っているのです。
コマーシャルの間にトイレに行ったり、他の番組を見たりとまったく違うことをしていても、やっぱりその番組の続きが気になって頃合いを見計らって続きを見に元のチャンネルに戻す。
単純なことなのに、つい気になってしまい番組の続きを見ずにはいられなくなってしまいます。
分かっているのに続きが気になってしまう、そして中断する事がより記憶に残すための助けになるのがこの現象の特徴です。
テレビは、とても分かりやすい例ですが、よく注意してみると他にも応用された形で身の回りでさまざまな事例をみつけることができます。
例えば、クイズや診断などもそうです。クイズの場合は、先に問題を出され、答えを見るまで気になり続けます。
診断の場合は、「あなたはどのタイプ?」などと先に結果があることを示される事もありますが、自分がどのタイプなのかは、実際に内容を見てみないと分からないようになっています。こうしたクイズや診断を広告などの最初のステップに持ってきて、思わず続きを読んでしまうという仕組みは古典的ですが、いまだに効果のある方法です。
また、肝心なところが伏字になっていたり、写真にモザイクが掛かっていたりして、実際に購入して手にとって見ないと分からないというのも中断効果を狙ったものです。
このように、すべてを語らないことで見たくなる効果を応用した例は身の回りに沢山あります。すぐに分かるものとそうでないものがありますが、それと分かっていても気になってしまうところがツアイガルニック効果の特徴です。
単純で古典的ですけど、それほど凝ったことをする必要はなく、使いやすく効果的とくれば、初心者のみならずその便利さは様々な場面で重宝するものです。
「その答えとはなんでしょうか?」という問いかけをして、その答え・情報をわざと与えないままにしておくと、人間はそれを解決したいという欲求に駆 られます。
認知的不協和というんですが、矛盾・疑問によって不快感が与えられるからです。自分のもっている情報の中では解決できない、ゆがんだ状態が発生するわけです。
たとえば、自分が、どうしても答えがわからなかった「なぞなぞ」なんて、かなり昔のものでも、記憶に残っていたりしませんか?
また、よくCM越えともいいますが、「この後、驚きの真実が明らかに!」なんていわれると、他のチャンネルを回してても気になってやっぱり内容が知りたくて戻ってきませんか?
この原理をDMの見出しに応用するわけです。
相手に矛盾した情報を与えることによって、相手を不快な、落ち着かない状態にしてあげてください。これが大切です。
そうなってくると、読者は不快感を解消しようとして、無意識のうちに努力してしまうわけです。問題解決のために必要な情報を得ようとして、どうしても本文に引き込まれざるを得ないのです。
「楽して今すぐできるたった1日で800万円の売上をあげる方法とは?」
「DMの半額以下で実施できる簡単に儲かる秘策とは?」
なんて感じで疑問形を並べながら、答えをなかなか言わない文章の組み立て方をするわけです。そうすると、読み手は何だろうと思って情報を得ようとして本文に引き込まれていくわけです。
ただ、新聞の記事やビジネス文書の書き方は、全くちがう書き方をしています。時間がない人が読むことを考えて、最初に結論を要約したものを持ってきます。
最初に疑問と回答を提示してから詳細を書いていく新聞やビジネス文書の手法はDMの場合には、あてはまりません。
このような手法をとるとレスポンスが落ちてしまいます。
DMの場合には、ツアイガルニック効果を利用したほうが、内容を読んでくれる確立が高まります。
● 伝説的な交渉人 インドの偉大な指導者ガンジー
インドの偉大な指導者ガンジーは、視点を変える力のおかげで伝説的な交渉人になったといわれています。
物事をさまざまな視点から見ることで、思考と行動に柔軟性が生まれたからこそ交渉の達人になれました。
彼が大英帝国による支配を終わらせられたのも、想像力を駆使して敵の視点からも物事を眺められるほど柔軟な人物だったからこそです。
インドの将来を巡る交渉の際、ガンジーはいつも状況をあらゆる角度から考えていました。交渉相手の肩越しに自分をみているところや、彼らの席に座っているところを思い浮かべ、「相手の考えがわかった」という氣がするまで想像をめぐらせていました。
時間をかけてそこまで徹底的に準備したので、話し合いが始まる前から、ガンジーには相手の関心や懸念に対する答えが全部わかっていたのも同然だったはずです。
では、ガンジーの視点を変える力とは⇒VAKOGモデル