「こんな問題があって、放置すると大問題に発展します。でもこうすれば大丈夫。
その解決法を、いまなら、あなただけに限定して提供します。さあどうしますか」と云われたら、あなたなら、どうしますか?
ここにPASONAの法則と呼ばれるものが存在します。一般に、このように言われると、買わざるを得なくなるという心理が働いてしまいます。
【P:Problem(問題を提起する)】
「△△でお困りではございませんか?」「××で苦労されていませんか?」「□□は不便だと思いませんか?」などお客さんが潜在的に困っていることや苦労していること、不便に感じていることなどを明確にして問題を気づかせます。
【A:Agitation(問題を炙り出し、あおりたてる)】
「△△で嫌になってしまいますよね」「××な時は頭に来ちゃいますよね」など問題を視覚的にイメージできるように描写し、煽りたてます。
『SO:Solution(解決策の提示と証拠)』
「そんな悩みも○○なら簡単に解決できます。その証拠に○○は□□で〜」と自社が売っているモノやサービスが問題解決に役立つことを明記し、その証拠を示します。
『N:Narrow down(限定、緊急、絞込み)』
「しかし、この商品は○○の事情で、数に限りがあります」と絞込みをかけます。いつでも購入できるものではない限定感をアピールし、緊急性を演出します。
『A:Action(行動)』
「今すぐ○○までご注文ください!」と次の行動を呼びかけます。
この一連の流れが心理的に良く構成されており、思わず買ってしまう心理を呼び起こすのです。
PASONAの法則で、特に重要なのは、次の3つです。
●問題の提示
●問題の煽りたて
●解決策の提示
商店街の社長どうしの会話を例にしてみます…。
A「いや〜、客が少なく、景気悪いなぁ。ところで、おたくのところは、どうなんだい。なんか良い話ないかい」
「あるわけねぇだろう。こっちが聞きたいぐらいだよ。まったく」
B「ところでさぁ、5丁目の○○さんのとこさぁ、販売先が倒れちまって、 片手くらいの不渡りつかまされちまったみたいでさぁ、年末は大変 だったみたいだよ」
「えっ?、片手かい、そりぁ大変だ。ウチだったらもうマイってるね。 取引している信金だって、いざとなりぁ、あっち向いてホイだもんね。 ウチの販売先
だってわかりゃしないよ。おちおち寝てもいられねぇ。 経営者受難の時代だよなぁ。サラリーマンになりてぇよ。まったく。 ハッハッハッ」
C「まったくだ…。俺んとこもいつなんどきどうなってもいいように○○倒産防止共済に入ったよ。なにせ掛け金の30倍まで無担保融資だからな。 従業員もいるしよ。転ばぬ先の杖ってやつで……。 なんたって安心が一番だよなぁ」
「○○倒産防止共済? 掛け金の30倍まで無担保融資? おいおい、冷てぇな。俺にももっと詳しく教えろよ!」
Aが「問題の提示」、Bが「問題の煽りたて」、Cが「解決策の提示」に該当します。
「問題の提示」には必ず肯定される共通項が必要です。ここで反感を買えばPASONAの法則は破綻します。共通項が鉄則です。
(そのとおり、と思わせて)
いやらしい言い方ですが、さらに不安を増長させるようにします。
これが、「問題の煽りたて」です。
そして、「解決策を提示」して(安心感を与えて)、
目的とするところに誘導するわけです。
単純なようですが、これがダイレクト・レスポンス宣伝文の基礎となる構成です。
モノやサービスが溢れている現代において、売るという行為はより難しくなっています。
そこでこの法則を使ってお客さんに自社の商品を上手にアピールして買ってもらうというわけです。
広告に携わっている人には必須の知識となっています。
1.「斬新な切り口・アプローチ」
2.「ターゲット絞り込み」
3.「2次信用の活用」
4.「お客様の声(証拠)」
5.「圧倒的な差別化」
6.「欠点と失敗の活用」
7.「魅力的な無料オファーをつける」(無料プレゼント等)※質より量
8.「ベネフィット」(利点の供与、サービス)
9.「限定」(すぐ、いつまで、何個まで等)
10.「あまり知られていない事実・秘密」の開示
11.「特別」(今だけ、あなただけ、キャンペーン)
12.「〜しないと損をすると思わせる」
13.「確信」
14.「繰り返し」
15.「疑似体験」
16.「逆説」
など以前に述べたことなどを盛り込み、本文構成を増強・補完してゆくわけです。
でも、基本となる「問題の提示」「問題の煽りたて」「解決策の提示」以外の増強・補完要素の全てを盛り込もうとすると無理があります。
いくつかをブレンドして用いるわけです。
PASONAの法則の応用を中心に前述の購買心理の7段階を加えて少し整理して見ましょう。
1.広告タイトルを作る。
※広告本文を読んでもらえるかどうかの最初にして最大の難関です。
2.サブタイトルで興味付けを増幅させながら、本文へとスライディングさせる。
※「いったい、何が書いてあるんだ!」と思わせます。
【ここからPASONAの法則の応用です】
3.共通の問題を提示する。
※「共通する」という点がポイントです。ここで反感をかうと全てが終わっ てしまいますので、注意が必要です。
4.煽り立てる。(表現が悪いですが)
※(3の問題を放置したままでは)〜〜になる。
※(言葉悪くいいますと)不安感が増大するように煽るということです。
5.解決策を提示する。
※3、4が払拭される解決策を示します。
※安心感を与えるということになります。
※「2次信用の活用」などはここ(もしくは6)に入れます。
6.絞り込む
※結論(広告目的)にスライディングさせるために5を具体化する。
※「お客様の声(証拠)」「圧倒的な差別化」「欠点と失敗の活用」などは、ここに盛り込みます。
7.行動への呼びかけ(広告目的を達成させる。
※「今すぐ、クリック!」「今すぐお電話を」などと即行動を呼びかけます。
後ででは、顧客の戻ってくる確率が激減します。鉄は熱いうちに…という ことですね。
※「保証」「希少性・限定の演出」「プレゼント」などはここに盛り込みます。
広告ではホームページへ誘うこと、ホームページでは資料請求させたり、MLに参加希望してもらうことが目的となります。
決して、最初から売り込 んではいけません。
「階段」を用意してあげるのです。
直接的にリクルートを目指す広告よりも、 第一段階として興味関心を持っている人(見込客)を集めること に専念した広告の方が数段簡単なのです。
● ユダヤの教育
有名な話ですが、ユダヤ人の家庭では子供が7〜8歳になると母親がこんな質問をします。
『異教徒に襲撃されて、命からがら逃げ出さなくてはならないとき、何を持って逃げますか?』
ここでは、金庫とかアルバムとか答えてはいけません。(笑)
これらは、奪われたら完全に失うものだからです。
彼らの答えはこうです。
『教育』 である。
教育はモノとは違い、生きている限り、誰も奪うことはできません。
ユダヤ人は、永い間多くの迫害を受け、見知らぬ国で生き残る為に『情報』と『教育』を重視してきました。
そのため人生やビジネスに必要なバランス感覚に優れ、警戒心も強いことから、リスク管理にも長けています。